もしもSiM 20TH ANNiVERSARY 「20YEARS」がイタリアンレストランなら、私は食べログの評価で星1をつけるかもしれない。なぜなら両日集ったのは、フェスでトリを務められるメインディッシュ級のバンドしか出ていないからだ。私は2日目のみ参加したので、その日の対バン4組の様子を伝えていく。
なお、トリのSiMのライブ・レポートはすでに別の記事でレポートしているので、ぜひそちらもご覧いただきたい。
1.04 Limited Sazabys
トップバッターは04 Limited Sazabys。前方のフロアではほぼ常時サークルモッシュが発生しており、風力発電機のごとく止まらなかった。フロアも初手からアクセル全開といった様子だ。
GEN(Ba/Vo) によるハイトーンボイスのボーカルは、確かに04 Limited Sazabysの大きな強みである。しかし、RYU-TA(Gt/Cho)のダミ声も演奏の中では良いアクセントになっている。新たな強みとして、飛び道具的にRYU-TAメインのボーカル曲や、GENとのツインボーカル曲があればセットリストにメリハリが出るのではと感じた。MONOEYESやBlink-182のように。
04 Limited Sazabysのライブは、ときめきやきらめきをギュッと詰め込んだようなキラーチューン「Swim」をはじめ、光属性のメロディックパンクが終始オーディエンスに向けて炸裂していた(対照的にSiMのことは闇属性と話していた)。可愛げのある後輩感全開でも、バンドサウンドはガチンコそのものだった。
2.HEY-SMITH
衝撃事実が発覚した。どうやら活動年数だとHEY-SMITHはSiMより2個下のようである。TRIPLE AXEではあれほどまでに同年代感を出していたのに。なにはともあれHEY-SMITHの20周年は2年後ということが判明したので、かなす(Tb)が予定している妊活や産休、持病の治療から復帰したうえで武道館に立ってほしいという身勝手な思いはある。
ライブはというと、他の4バンドに比べてギターの音抜けが悪かったように感じた。その一点以外は非常にエキサイティングなパンクロックを展開しており、「California」ではMAH(SiM)の飛び入り参加もあって会場のボルテージをさらに上げていた。印象的だったのは演奏とともに流れるVJで「Come back my dog」での犬の衝撃的な世界の珍映像が愉快だった。
3.マキシマム ザ ホルモン
体感時間でいうとライブの4分の1は、TBS系バラエティ番組「学校へ行こう!」でやっていた平成のリズムゲーム”みのりかリズム4”だった。ぴあアリーナMMでやったのは彼らが初だと思われる。とにかく同ゲームでGODRi(SiM)をイジり倒していた。
そんな相変わらずユーモア全開なマキシマム ザ ホルモンだが、演奏やパフォーマンス面でも全力全開。たとえ後輩主催のイベントであろうが、だ。轟音サウンドで必殺曲を畳み掛けてフロアの熱量を極限まで高めていく。ホルモンでもHEY-SMITHのようにVJが凝っていて、ULTRA JAPANのような鮮烈な映像演出に合わせたナヲ(ドラムと女声と姉)のパラパラが貴重なシーンだった。
「友達でも敵」。ナヲのMCで言っていた言葉どおりの、緊張と緩和が入り交じる素晴らしいライブだったと振り返って思う。
4.coldrain
圧倒的な違和感があった。ドラムセットや弦楽器隊の足元のペダルやエフェクターはあるが、演者の後ろに備わっている大きなアンプやヘッドといった機材がない。えらくスッキリしたステージセットでcoldrainのライブは始まった。
歌唱力。攻撃的なサウンド。ドラマチックなセットリストの展開。私は何度もcoldrainのライブを見ているが、本当に彼らはレベルの高いラウドロックをオールウェイズ出してくれる。まるで欠点が無い。激しいロックを聴いてみたいというラウドロック初心者がいれば、間違いなく彼らを紹介する。それほどまでに理想形ともいえる彼らの攻めに攻めきったライブであった。
5.総評
SNSで見かけた”プチDEAD POP FESTiVAL”とはよく言ったものだ。どのバンドも口々にSiMに感謝し、20周年を祝福していた。しかし、あくまでも切磋琢磨してきた好敵手(ライバル)として、全バンドから主役であるSiMを食ってしまおうとするほどの気概が感じられる、そんな完成度の高いライブが一貫して繰り広げられていた。
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