先に断っておくと、フロントマンである庵原の生尻をBillboardの舞台で拝むことは流石に叶わなかった。無かった出来事はレポートできないので、直近の尻事情を知りたかった庵原ケツ単推し勢は素直に諦めてほしい。(誤解の無いよう記すが界隈は健全だ。クレヨンしんちゃん程度の話である)
前回記事の星街すいせい武道館公演から、ありがたいことにご覧いただいている星詠み(すいちゃんのファンネーム)およびVtuberファンは、移動中やトイレに入ってる時になんとなく読んでくれれば幸いだ。ただ、約2分あれば正直好きになるから本当にSHANKは良いぞ。
私は本当の事しか綴らない。よって本稿では長崎発のメロディックパンクバンドSHANKの、アコースティック編成バンドSLOW SHANKによる Billboard横浜公演の内容をお届けする。MCで3度イジられる距離感の、とんでもなく良い特等席に座ることができたので綴っていく。

なんと1曲目からキラーチューンの「Set The Fire」。歌の1音目に迷いが感じられたが、この曲が鳴ってしまえばもう完璧にSHANKの場になる。「Bright Side」では、まさかのボサノバアレンジ。原曲では想像できない心地良くチルい雰囲気に包まれた。観客は手拍子を表の拍でなく裏拍で鳴らしており、スカやレゲエを取り入れているSHANKに対する愛とリスペクトの深さが伺えた。
アコースティック編成では、貴重な「#8」(読み:ナンバーエイト)も披露された。以下は同楽曲の印象深い一節の和訳である。
僕 を 抱きしめてくれる ”君 と過ごした くたびれた思い出”
もう 何もかもから 逃げ出したいんだよ(「#8」サビ前で歌われる歌詞の和訳より)
現実から逃げたくなる葛藤と切なさが音源から切実に伝わるのだが、音数が少なくなるアコースティックでもその魅力は少なくなるどころか更に洗練されていた。どうやら先に行われた第一部から連続参戦している方によると、オーストラリアにいた当時の恋人に向けた淡く切ない恋心を持つ曲らしい。
MCは曲への理解が深められる解説がありつつ、本当にユルくて面白い内容だった。下積み時代にバックシートで酔い潰れて車中泊していた話。引越しをミスった話。ハワイに行ってワインにハマった話……まるで有名配信者の雑談配信のようだった。2回に1回はメンバーから無視されていたが、それでも象徴的なやり取りがあった。
庵原「喋ってるヒマないよ、曲バンバンやろう」
↓
曲の入りが揃わずミスる
↓
庵原「(ミスなんざ関係なく赤ワインを口にして)すごい!高いヤツの味がするわ」
↓
そのままするっと曲に入り直す
これだ。この、気のままの緩急がSHANKの持つ大きな醍醐味のひとつだ。気取らずにBillboardだろうが白Tシャツで良い。でも〆るところは〆るべく音楽はおふざけ無しに魅せる。そんなスタンスが彼ららしさであり、ロックバンドのひとつの完成形に思えた。
いくつになってもSLOW SHANKというアコースティック編成のライブはやり続けてほしいと願う。彼らが60代、70代と年老いたとしてもだ。時にはHEY-SMITHのメンバーを招いてホーンを追加したり、SiMのMAHとSublimeをカバーするような、そんなIFの未来を勝手ながら期待している。Billboardに限らず、夏は海の家を巡るツアーも面白いかもしれない。波音に夕暮れ。鉄板に広がる焼きそばの、ソースが焼ける香り。そこにSHANKの音楽があればいくらでもグラスは傾けられるはずだ。その時でも彼らの根底にあるマインドはきっと同じまま。なので、いつか庵原の銭湯でよく見るようなしわしわダルダルになったケツを観てみたい。これがケツ論。

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