【JasonAndrew/RAINCOVER/OwL】新時代の英雄集結。関内BB世代3バンドが狼煙上げ、熱意に満ちた一夜を繰り広げた【ライブレポート/『STATEMENT』ツアーファイナル/IKKI NOT DEAD/ジェイソン公式振り返りも】

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「京都で一番ライブが強いRAINCOVERです」

「私たちがどこまでも行けると言うことを証明しにきた」

「お前ら、その倍でかかって来い」

まるで、ジャンプ作品に出てくる主人公のような台詞である。しかしこれらは、下北沢SHELTERにて実際に見聞きしたバンドマンによる肉声だ。つまりは、声明(STATEMENT)ともいえる。5月31日、今では老舗ライブハウスとしてでなく、ぼっち・ざ・ろっく!の聖地としても知れ渡る下北沢SHELTERにて以下の公演が行われた。

 

 

元来ツアーファイナルというのは、先輩アーティストの胸を借りつつ有終の美を飾るのが多い。共演したという箔がつくし、何よりツアーファイナルに懸けているアーティストが、先輩よりも立派なライブをするという熱い展開も起きうる。語弊を恐れずに言うと、ドラマチックになりやすいのだ。JasonAndrewなら直系で大先輩のHAWAIIAN6、あるいは地元のドンともいうべきSTOMPIN’BIRDを呼ぶこともできたであろう。

 

 

しかし、それでもJasonAndrewは自身が掲げる声明を、初志貫徹で全うすることを選んだ。名声や集客よりも同世代の仲間とどこまでいけるかという未来を最優先に選んだのだ。たゆまぬ挑戦を選ぶ。その結果JasonAndrewの大義に応えた仲間の2バンドが本公演の対バンを務めた。

もうハコに流れている転換BGMから主催者の義理人情の厚さを感じた。JasonAndrewにとって、長崎は佐世保の盟友 CODE AXE、大阪は住吉のアブラマシマシ乗りまくっているLauncher No.8の楽曲がフロアに流れているのを確認できた。確かにJasonAndrewの軌跡を辿れば彼らがツアーファイナルに出ていてもおかしくない。もっと言えばサプライズアクトで、バッキバキの新譜をドロップした大阪のReVERSE BOYZが乱入してくるとさえ見込んでいた。流石にそれは思い過ごしだった。

 

目次

1.RAINCOVER

京都大作戦の切符を掴んでいるRAINCOVER(TRUST RECORDS所属)が一番手。牛若の舞台に立つべきバンドとして遜色ないどころか、最早彼らのツアーファイナルではないのかというぐらい、音楽に対する全身全霊の想いが伝わるライブであった。大勢を目の前にしても、京都から離れたアウェーの地でも、磨き抜かれた個性と人情味が溢れるメロディックパンクを鳴らし続ける。人間の内なる弱い部分を見逃さず、まとめてロックとして響かせる。例えば20代だった若かりし頃の10-FEETも、きっと今のRAINCOVERと同じ匂いが感じられたのではないか。そう思えるぐらい、終了後は心がすっきり晴れ渡る感じがした。素晴らしいロックバンドによるライブだった。同ツアーでは渋谷THE GAME公演でも彼らを観たが、その時よりもバンドとしての存在感が非常に大きく感じられた。

「京都で一番ライブが強いRAINCOVERです」そう宣言した。京都には10-FEET、くるり、ROTTENGRAFFTYほかツワモノが勢揃いなのにも関わらず、だ。出る杭は異常なまでに打たれる令和の時代だからこそ、この度胸のまま輝き狂い続けてほしい。そして、早くぐんぴぃ(春とヒコーキ)と巡り会えることを祈っている。

RAINCOVERのセトリ

2.OwL

ライブハウスで遊ぶ仲間から、こぞって言われる常套句。「OwLカッコいいよ」。タワーレコード渋谷店で、ハンバーガーを頬張るアー写が愛嬌のあるポップを前に試聴機で体感した時は、正直にいうと心に刺さらなかった。時期としてはコロナ禍で、自身の感性が自粛によって凝り固まってしまっていたのだと思う。3人組の初対面から4年の時が経ち、ついに目の当たりした。

口コミどおりでカッコよく、誰よりも汗かいてライブを繰り広げていたRAINCOVERとは違う熱量を感じられる。3ピースならではの洗練された東京メロディックパンクを観客へ届けていた。KABUTO(Dr/Cho)のツービートでのスネアやバスドラムの音が軽かったので、響かせる一音一音がもっと重厚になれば更にありがたい。バンドの前線を担うリコ(Vo/Ba)とTaiyo(Gt/Cho)による巧みなコンビネーションに驚かされつつ阿吽の呼吸で華麗に立ち回るOwLから、GOOD4NOTHINGといったベテランさながらの経験値の高さを感じられた。「私たちがどこまでも行けると言うことを証明しにきた」これはリコ(Vo/Ba)のMCである。ぜひその向こうへ、テレビ番組でなく培ってきたライブハウスならではの持ち味を胸に、CAFFEINE BOMB RECORDSの看板を背負って駆け抜けていってほしい。これは切なる願いだ。

必殺曲「Vintage」をOwLにカバーされた時の、絶妙な面持ちを浮かべたJasonAndrewタカギ ユウスケ(Gt/Vo)
OwLのセトリ

3.JasonAndrew

一瞬の隙も許さない、怒涛の勢いでライブを展開するJasonAndrew。「お前ら、その倍でかかって来い」と煽りつつ、メロディックハードコア、パンク、レゲエやジャズなどやりたいことを終始フルパワーで演奏していた。待ったなしである。その様子から、『STATEMENT』ツアーを終わらせること、バンドとしてひとつの節目を迎えるには鬼々しい気迫や決死の覚悟が必要なのだと再認識させられた。kaito(Dr)のドラミングに至っては、疾風怒濤すぎて身体的な老後が心配になるレベルだ。これは余計なお世話だし、いちファンとしての見解になるが、どうかkaito(Dr)は本番前後での念入りなストレッチ、ウォーミングアップ、腱鞘炎やヘルニア予防としての習慣の維持に努めてほしい。これは、ひとえにJasonAndrewをもっと観たいという真心である。舞台袖で彼ら見届けていた共演者も、ドラムに関してはドン引きの顔色を隠せないでいた。

マスコミやメディアにおいて何かを”世代”でくくるのは面白くない。90年代のHi-STANDARDによる”AIRJAM世代”や、お笑いの分野であれば霜降り明星をはじめとした”お笑い第7世代”といった言葉がある。そんな単語を並べられたとて具体的なアーティストやタレントはイメージしづらいし、読者に対して不親切だ。

そう思っていた。しかし実際に、決して短くはない年月を追っているJasonAndrewが、新時代の旗手となる瞬間を下北沢SHELTERにてこの目で目撃してしまったのであれば、すでに彼らは”関内BB世代”なのだと最大の敬意と感謝を込めてそう呼びたい。

「岐阜ー新潟間は手尺でツアーを組んじゃいけない(戒め)」、「リリースパーティだけで良いと思ってた。でも、全国各地に待ってくれるお客さんやバンドマン、ライブハウスの仲間たちがいることのありがたみを『STATEMENT』ツアーで知ることができた」。コロナ禍にBBストリートでライブをやりまくっていた当時の彼らからは想像できない、重みのあるMCをRyosei(Ba/Vo)は口にしていた。何事も始まりがあれば終わりがある。コロナ禍は終わったし、大阪万博はすでに始まっている。JasonAndrewにおいても、ひとつの長い冬の時代が終わったのだ。感染防止のガイドラインによって、恵まれない音楽業界の現場状況をくぐり抜け、すだかずの脱退による3ピースでのライブ敢行、そして『STATEMENT』ツアーでのドサ回りにおける、計り知れない困難や葛藤。

それでもバンドとして個性を体現し、あらゆるパフォーマンスで表現し続ける。ライブで得られた何かは受け手によって異なるが、私は”関内BB世代の存在証明”というメッセージをJasonAndrew、OwL、RAINCOVERから受信できた。あれほどまでに同世代との未来を見据えたツアーファイナルを、私は数多く知らない。本稿の最後は、現場で放たれたRyoseiの実父による金言を、失礼千万ながら拝借して締めさせていただく。

「バカ息子をこれからも、よろしくお願いいたします」

JasonAndrewのセトリ
終演後、豪華プレゼント(対バン寄せ書きバスドラムヘッド)のじゃんけん大会を繰り広げるファンサービスも
余談だがCDジャケットに描かれた花札風骸骨武将のバックドロップが、もう掲げられることがない事を寂しがっていた。

併せて、Ryosei(JasonAndrew)による振り返り記事も本人のNoteにて公開されている。こちらもご覧いただいたうえで、ぜひライブハウスへ足を運んでフルモッシュしてほしい。

【つづる音楽イチオシのイベント】

“CHUMP!! FEST 2025” -B.B.STREET 28th Anniversary SP-

【出演】
BACK TO BOYS / carabina / CODE AXE / FIVE STATE DRIVE / FUNNY THINK / THE JAPANESE PRIDE / JasonAndrew / Launcher No.8 / Northrop / OwL / RAINCOVER / Recca / ReVERSE BOYZ / SHE’ll SLEEP / SLACK / Some Life / Stellarleap / STRIKE AGAIN / UNHOLY11 / urei / View From The Soyuz

[FOOD]
おつまみシャンケス / TACOLAN

座種/料金前売り オールスタンディング
一般 5,000円(税込)
学割 4,000円(税込)
※入場の際にドリンク代600円が別途必要となります。
一般発売日4/7(月)21:00~
チケット販売Live Pocket:https://t.livepocket.jp/e/chumpfest2025-bb28th
お問い合わせメール:bb@bbstreet.com

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石川町 OTONOBA (読み:オトノバ)

横浜にあるMUSIC BAR OTONOBA

営業時間21時〜6時 定休日:水曜日

TEL:045-319-4528
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この記事を書いた人

シキのアバター シキ ライブハウスとネットカルチャーの狭間に生息中

元音楽WEBメディア出身の編集・ライター。月間約180本のネットニュースを作成し、ライブレポやCDレビューのメディア掲載実績あり。学生時代は通算100本以上ライブを演っていた。音楽を知り、より好きになるきっかけを作りたくて記事を執筆する。中2でホルモンにハマり初音ミクに恋をして、気がつけば15年以上の音楽ジャンキー。面カテゴリーはカロリーメイツ。ラーメンはライフライン。

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